リザルトカレンダー:5月

5月の経過
  1
映画『エピソード1 ファントム・メナス予告篇』『ホーホケキョとなりの山田くん予告篇』『ガメラ3』・舞台挨拶『ドーベルマン』『クイズ・ショウ』
2
サイクリング『ジャッキー・ブラウン』
3
サイクリング
4
『燃える昆虫軍団』
5
サイクリング
6 7
サイクリング
8
サイクリング『ジャッキー・ブラウン』
9
『七人の侍』『コンタクト』
10
ベネッセ・スター・ドームと多摩センター『時をかける少女』
11
写真の未来学「都市の貌」homeland
12
帰省往路
13
『CUBE』『ELEVATED』『大巨獣ガッパ』
14
アジア系アメリカ人芸術家1945−1970:伝統と抽象
15
『宇宙大怪獣ギララ』
16
ゆめタウン『トイレの花子さん』
17
ドライブ『北京的西瓜』
18
『大怪獣プルガサリ』
19
『平成狸合戦ぽんぽこ』
20
『サイゾー』創刊号、『アンツ』
21 22
結婚式『コミックボックス』6月号
23
『タイム・リープ』『アトランタ・ブギ』
24
『山田村ワルツ』、帰省復路
25
相模原市立博物館
26
相模原職安、『家族ゲーム』
27
『ぼくらの七日間戦争』
28
『蘇える金狼』
29
NHK技研公開アニッシュ・カプーア展あかね
30
20世紀のアメリカ版画
31  

5月の感想

5月1日(土)
『ガメラ3』・舞台挨拶(新宿ジョイシネマ3、16:50〜)
 満員。やっぱりうれしいな。樋口真嗣・藤谷文子・手塚とおるの“大ヒット御礼”トークショー。藤谷文子はこれだけのためにロサンゼルスから来たそうだ。オレンジのタンクトップ。胸ないなあ。手塚とおるはやたらカッコよかった。ありきたりでないトークが19時から25分間。“客はみんな熱心なファンかマニアかオタク”という前提で、メディアに乗せるとかなり誤解を招きそうな話も。面白かった。出ようとしたら前の会社のKさんとばったり。以前亀有名画座でも会ってる(しかも毎回)ので、お互いしょーがねーなーという感じ。
5月2日(日)
サイクリング(大井埠頭、東京港野鳥公園)
 きょうは有明の宇宙フェスティバル大森のガメラ展に行くつもり。246に出て多摩川べりを下る。寄り道なし。もうすぐ着けるかなと思ったら、レインボーブリッジは輪行袋がないと自転車を持ち込めないことが判明。東京港トンネルは自転車お断りだから、要するに自転車は豊洲まで回らないとお台場に入れないのだった。ナメてる。というかリサーチ不足。大回りするのもメンドーなので大井埠頭探検に変更。
 パトレイバーのイメージから、寒々しい空き地を想像してたんだけど、そういうのはごく一部のようだ。飛行機が頭上を飛ぶ光景は同じでも、倉庫だの何だの立ち並んでいて、けっこうにぎやか。よく整備された公園やキャンプ場、市場まである。こんなとこだったのか。
 ウロウロしてたら、トーチカのような展望レストランのような建物(どんなだ)を発見。行ってみるとそこは東京港野鳥公園という、自然観察施設なのだった。環境そのものは人工の箱庭なんだけど、餌付とか一切なし。生物が勝手に生活しているのをじっくり観察できる。飛行機もたくさん観察できる。常駐のガイドの人もいて、いろいろ教えてもらえる。
 望遠鏡がたくさん置いてあるけど、今日は双眼鏡持ってたので自分のを使った。30分間観察して同定できたのは次の種類。コアジサシ、カワウ、767−300、747−400、777、MD90、コチドリ、ポケモンジェット(747)、A300−600R、ダイサギ、ハシブトガラス。面白かったのでまた来ることに。
 ガメラも出直すことにした。
5月3日(月)
サイクリング(お台場)
 東京へ行くのに近くて安全で楽しいルートを探してるんだけど、なかなか見つからない。結局246を使ってしまった。サイクリングロードを下って丸子橋まで家から1時間40分。最速記録か。きのうは第一京浜使ったけど、海岸寄りを走る必要のないことが判明しているので、五反田へ出て桜田通りで霞ヶ関。晴海通りをずーっと行って、まだ行って、豊洲、東雲、有明。3時間半で着いた。疲れた。
 TFTの宇宙フェスティバルをちょろっと見る。ずらっと並んだコンピュータのクイズや何かで子どもがたくさん遊んでいる。大型模型もあって、けっこういろんな展示物が来ていた。研究中の月面探査車(ローバ)がよかった。
 埋立地をぐるっと一周。こういうところへの自転車の流入が制限されてるというのは許し難い。トンネルを見て、ここから行けたらいいのになと思いつつ、引き返す。疲れたのでガメラ展はまたしてもパス。池上通りで多摩川に出た。登戸まで、強い追い風で楽だった。
5月5日(水)
サイクリング(境川〜遣水〜多摩センター)
 前夜の嵐から打って変っていい天気。水道道(みち)と246の交わるあたりから境川を遡る。途中町田の図書館で本を借りた。相模原だか町田だか八王子だか分らないあたりをウロウロ。
 町田市小山町に造成中の多摩ニュータウン用地に「ゴルフ、ラジコン等を禁ずる」という看板が。見るとゴルフは誰もやってなかったけど、ラジコンヘリを飛ばしてる人とモトクロスの人たちがいた。こんな広大な土地、ホントに街ができるのかなあと思うぐらい広い。作るんだろうけど。山のすぐ裏は南大沢とか柚木とか遣水。ついでなので、こないだ「南大沢あたりの」と書いたのがどの程度南大沢あたりか確認しに行くことにした。
 こないだは16号の御殿峠から入って同じ方向に引き返したので気付かなかったんだけど、実は“昔ながらの”遣水地区は、既にしてバリバリの造成住宅地と隣接しているのであった。道一本で隔てられている。そういえば、16号から入ってくる方の道にも、道路拡幅を前提にしたトンネルがあった(上を八王子バイパスが通っている)。うーむ。やっぱり開発しちゃうのか。造成住宅地の中の公園の掲示板に「里山再現」とかいって田植えイベントの告知があったけど、再現する前にまず破壊をやめたらいいんじゃないのかなあ、というは通らないのかなあ。だってまだ残ってるんだよ。
 多摩センターへ出て、ベネッセ・スター・ドームの偵察。会社は休みでもプラネタリウムは休みにならないので、警備的にはけっこうお荷物っぽかった。
5月7日(金)
サイクリング(尾根緑道〜多摩ニュータウン〜町田市立中央図書館)
 前回走ったあたりに尾根緑道というのがあるはずなんだけど、遭遇しなかったのであらためて行ってみることにした。バス停「尾根緑道入口」付近にそれらしき道を発見。もとは相模原の造兵廠で作った戦車の試走路。それで「戦車道路」と呼ばれていたらしい。いつ「尾根緑道」になったんだろう。国有地を町田市が借りていて、公園として整備する予定なのは8km、でも完了してるのは1.5km。当然続きも行ってみる。まず西へ。
 公園を抜けると、そこそこ快適な歩道、その先に行き止まり。道は続いてるんだけど「造成工事のため通行止め」の看板。葬儀場があって、そこの駐車場から先を見たら、なんとおととい来た造成地の上だった。数メートルのところでニアミスしてたらしい。
 少し迂回すると入り込めるところがあったので続きの道を行く。広くて平坦な舗装道路。両側に柵があって、公園等用地につき立入禁止とある。こっちの道も立入禁止なんだけど。とにかく車が来ない、人もいない、緑がいっぱい、快適そのもの。会った人は2人だけ。用地内に勝手に畑を作ってる人と、猟犬の訓練をしてる人。ずーっと行くと、道が終っていて、おととい反対側から見た立入禁止の柵が。遣水のニュータウン内。ここがそうだったのか。家に帰ってから9年前の地図(昭文社の『ニュータイプ東京区分地図』)を引っぱり出して見てみたら、ニュータウンのあるところには道も街もない。
 反転して東へ。そのうち緑道もしくは戦車道路らしきものは終ったけど、面白そうなので道なりに行ってみる。日大三高入口交差点から北へ行くと、田舎の風景としか言いようのないものが出現。たとえば道に面した納屋があって中に竹カゴが積まれてるとか、水路横の法面の素材がコンクリじゃなくて自然石だとか。とにかく土の露出が多い。小山田小学校、いいところにあるな。東京都町田市の小学校といってもいろいろなんだなあ。
 民家の裏道から、ちょっと考えられないぐらい急な坂道が延びているので行ってみると、山の向こうに、ムチャクチャ立派な屋敷とかがあった。このへんの地主と見た。知らないけど。尾根伝いに軽自動車がやっと通れるぐらいの道があって、ずんずん行くと、急に視界が開ける。大きなビルと、中央分離帯のある道路。ちょっと先に、小田急の唐木田駅の車庫。そうか、こういう位置関係なのか。まったく気付かなかった。田舎は突然、終っていた。
 地図で見ると、唐木田駅と小山田小学校って直線距離で2キロと離れてないけど、心理的距離はムチャクチャ遠い。原因は要するに、道の細さではなくて、上小山田町の風景と唐木田のニュータウンの風景の違いだ。このへん全部、ああいう田舎の風景だったんだろうなあ。農地とか林とか水路とか急な坂とか、ぜんぶブルドーザーでつぶして、道路作って木植えて、電気水道ガス引いて、ビルとか家とか建てちゃったんだなあ。と思うとクラクラしてきた。
 工事現場がやたら出てきた『帰ってきたウルトラマン』のシーンがフラッシュバックする。それで夢の島は汚いとこだと思ってて、行ってみたらきれいなところでびっくりしたのを思い出す。藤原新也が田園都市線開発前の宮前平近辺の記録映画を見た話も思い出す。『東京漂流』だったかな。小松左京の「比丘尼の死」で立ち退きの説得に行った作業員が泣きながら帰ってきた場面を思い出す。なるほど、あれは泣くしかないんだなあ。
 でも、この風景見ても涙は出ないな。もっとも、過去のある“泣けるニュータウン”に人や企業は来ないかもな。おととい見た造成地の真ん中には、なぜか家が一軒ポツンと新築途中で、『御先祖様万々歳!』の新築の四方田家を思わせたけど、あそこから家族の物語が始まるのだろうか。そういえば小松左京の「御先祖様万歳」のトンネルも開発がらみだったなあ、とか、よくわからなくなってきた。
 誰が何でこんなとてつもない開発を始めたのか、という根元的な疑問がムクムクと沸き上がってきて、ものすごく大きくなったので、図書館へ行くことにした。さいわい今日は金曜なので8時まで開いてる。
 とりあえず世界大百科事典。「東京の住宅難を解消するため、1963年に〈新住宅都市開発法〉が制定され、67年より建設が開始された」「最終的には3020ha、41万の居住人口をもつ大規模プロジェクトである」フーン。続いて『多摩ニュータウン開発の歩み』東京都南多摩新都市開発本部、1987年3月。なるほど、当時の住宅難は深刻だったらしい。主要な目的には、スプロール化現象――無秩序な開発の進行――を予防して快適な都市空間を作るというのもあった。読み進むと、建設省の行政資料が出てきて、それを読んでるうちに寝てしまった。いかん。
 米軍弾薬庫の問題。多摩市と稲城市にまたがる、って連光寺の米軍ゴルフ場のところか、弾薬庫だったのか。新宿区の戸山ハイツ、木造の頃から今の名前だったんだな。いろいろ発見があるなあ。
 いちばん面白かったのは、開発前と開発後の比較写真。やっぱり思った通り、ああいう田舎だったのを開発したのだった。ただ、権利関係とかややこしくなるので、できるだけ人の住んでない、農地のないところを選んだとのこと。でも、ホントにやっちゃったんだなあと嘆息する。計画した人たちは、昔の城作りみたいに、山のてっぺんから見て決めたのかなあ。違うだろうけど。
5月8日(土)
サイクリング(喜多見〜府中)
 相模大野のSRCへ行ったらイマイチだったので、新宿店へ行くことにした。上が公園になってるはずの小田急喜多見電車基地に寄っていくつもり。狛江から野川の跡の公園を辿る。住宅地をうねうね走っていた川を埋めて、新しくつけかえたらしい。電車基地は野川沿い。でも目的地よりずいぶん上流に出ちゃった。
 「世田谷区立きたみふれあい広場」。なんでこんなにひらがななのか。階段を上がると、適当な公園。広くて、きれいで、子ども連れのパパママが来ている。見晴らしはいい。ちょうど狛江の方に火事があって、煙がよく見えた。管理人がいて、夜は閉める。ときどき電車の音がする。
 野川沿いに自転車歩行者専用道があるのを見つけたので、新宿を中止して野川を遡ることに。深大寺あたりで、そういえばそばだかうどんだか名物だったなと思って寄ってみる。そばだった。門前はそば屋だらけ。緑も多く、客も多く、観光地の風情が満喫できる。食べようかと思ったけど、いきなり入って当たりの店ということは少なそうなので、調べてから来ることにした。しかし今日来るまで「しんだいじ」だと思ってたら「じんだいじ」だったのね。
 調布の飛行場の周囲を回っていると、外語大の建設工事中。近辺に警察大学校なんかも作っている。
 甲州街道に乗って府中へ。武蔵野線開通とともに廃止になった下河原線跡の緑道を通る。郷土の森博物館、ここにもプラネタリウムがあるな。府中青年の家、アカーの人をサベツしたところだな。
 関があったという関戸橋から多摩センターへ。もう帰るつもりなので新大橋から鎌倉街道に乗ってもいいんだけど、南野の先の小野路町のとても急な坂道を下りたいのでこっちへ来た。路面が比較的荒れてるのでちょっとこわいけど、すごい加速で、たいへん気持ちがいい。
5月10日(月)
ベネッセ・スター・ドームと多摩センター
 プラネタリウムの投影までまだ時間があるのでAちゃんと多摩センター駅周辺をブラブラ。
 中央公園内「くつろぎの広場」の旧富澤家住宅は、禁煙、飲食禁止、敷居を踏むな、ここから上がるな、土足厳禁、靴を脱げ、さわるな、注意書きの嵐。監視カメラまである。全然くつろげない。中央公園そのものは、なんとなく嘘っぽい。一通りはちゃんとしてるんだけど。
 サンリオピューロランドから出てきた地方の中学生が、ベネッセ・ビルの下にあるニキ・ド・サンファルの作品の前で写真撮ってた。サンリオと同じノリで見たのかな。
 プラネタリウムがあるのはベネッセ・ビルの最上階で、ロビーからの見晴しはたいへんいい。薄曇りなのは残念。13:30の回、客は十人足らず。葛飾に比べると設備が弱い。前半は「今夜の星空解説」。そこそこ。後半はNASDA提供の「太陽系ツアー2061」。パンフレット見て、太陽系各惑星を巡るのかと思ってたら全然でがっかり。アニメ絵のスライド中心の、しょうもない冒険ものだった。一般旅客の海王星ツアーとハレー彗星ツアーが出てきて、どう見ても亜光速航行と超光速通信を使ってる(土星軌道で地球とリアルタイム通話してた)んだけど、そういう方面の解説は一切なし。非科学的展開でがっかり。2061年、スペースコロニー(ドーナツ型)が実用化されてるのに、国際宇宙ステーションがまだ現役だったりする。いいのかNASDA、こんなんで。冷房も寒かった。
 「たまヴァンサンかん」という施設。まず名前が不明なので近寄ってみたら、多摩ニュータウン25周年を記念して7年前に建てたらしい。住宅・都市整備公団のPRと、多摩ニュータウンの情報コーナー、貸会議室など。多摩センター駅周辺の大型ジオラマもある。
 ライブラリーには都市や都市設計、地域コミュニティ作り、多摩ニュータウンに関する資料がたくさん置いてあって、自由に閲覧できる。特に1m四方ぐらいの巨大な写真集、GHQが撮った航空写真と現況の航空写真が対になっている。これは凄い。
 主要道路はだいたい追跡できる。幅が何倍かになっているものもあれば、バイパスができて旧道になっているところも。川という川はすべて、ぐねぐねうねうね曲っていたのがビシッと改造されている。川というより排水路だな。畑はビルに、山は住宅に。影も形もなかったのは鉄道とゴルフ場。現況の山も、一旦削って木ィ植え直したらしきところが多い。まさに一目瞭然。ああ、こういうことをやっちゃったんだなあ。
 阪神・淡路大震災からの復興プランとかが派手に飾ってあるコーナー。置いてあった『阪神大震災の被害と公団職員の行動記録』(住宅・都市整備公団、1995年5月)を読む。住都公団の人たち(それぞれ建物やインフラの担当者や専門家)が震災当日とその後の行動、今後の震災対策についてレポートした部分は迫力があった。新しい街については、なんとも言えない。どうなんでしょね。
 「たまたま見た多摩」という秋の企画用に、多摩ニュータウンが出てきた本やマンガやテレビとか知りませんか、という募集をしていた。8月末まで。今んところ『毎日が夏休み』の映画やホンマタカシの写真なんかが挙がっていた。(5月9日の“裏”日本工業新聞!!によると『TOKYO SUBURBIA』の版元、光琳社出版がつぶれたらしい。)
 多摩センター駅前。歩いている人のファッションとかは、なんだかいいかげんな感じ。高校生のガラが悪い。閑散としてたのが、5時を過ぎたら駅に人が集まってきた。それなりに職場もあるということか。
 不自然な傾斜のあるパルテノン大通り(Parutenon odori)は一見すっきりしてるけど、よく見ると汚い。この街の発展というか、どういう成熟が訪れるのか、よく分らない。
5月11日(火)
写真の未来学「都市の貌」(新宿三井ビル・エプサイト
 「赤瀬川原平 光と色」と「ホンマタカシ SUBURBAN PORTRAIT」。
 赤瀬川原平は路上観察の対象物件(植物ワイパーとか)を中心に12点。淡泊といえば淡泊、いろいろ能書きを付ける余地があるといえばたっぷりある。一度にもっとたくさん見たい感じ。
 ホンマタカシはポートレイト10点。プリントよりも、著書の陳列コーナーにあった『TOKYO SUBURBIA』をじっくり見る。造本がカッコイイ。写真は面白い。雪の風景が気に入った。マンションの、ことさらに“家”感を強調している“屋根”が露出してるやつなんか特にいい。6500円は高いけど、コストパフォーマンスは悪くないと思う。
 ホンマタカシの郊外写真見ながら、どっかから流れてくる『タイタニック』の主題歌を聞くというのはなかなかオツなものだなあ。
小林紀晴写真展 homeland(新宿三井ビル・ペンタックスフォーラム
 エプサイトを出たら、なんか木遣が聞えてくる。見ると隣のペンタックスフォーラムで小林紀晴の写真展が。ラッキー。御柱や諏訪の風景が27点、赤い背景のポートレイトが14点。かなり見応えがある。
 本のほうの『homeland』(NTT出版)見たときはよく分らなかったんだけど、プリント(こっちは隣と違って生のプリントだ)見たら、ぞわぞわっと来た。興奮しちゃった。特にポートレイト。
 風景はともかく、御柱の写真はよく分らない。とってもリアルでリアルタイムな体験的体験として自分の記憶している御柱と、小林紀晴の静かな写真に撮られた御柱がうまく接続しないのだ。よくこんな写真撮ったな、と思う方が先に立っちゃう。でもまあ、本で見たときよりはずっとよかったんだけど。
 本は出たときに写真だけ立ち読みして、文章はよく読んでなかったのを、気分が高揚してきたのでよし買うかと手に取ってみたら、やっぱり写真の質感がプリントと全く違ってて、ピンと来ない。また今度ということにした。ホンマタカシよりは買う可能性高し。
5月14日(金)
アジア系アメリカ人芸術家1945−1970:伝統と抽象(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)
 丸亀の駅前にある、図書館と一体の美術館。設計は谷口吉生で、公共建築関連の賞をもらっている。猪熊弦一郎は、全国的には「三越の包装紙のデザインをした人」と言えば通じるかな。ちょっと前に三越の美術館で展覧会をやっていた。東京だと上野駅の壁画とか。うちの高校の出身で、たまに講演に来たりもして、僕も在学中に一度聞いた。もう亡くなった。
 「現代美術館」て名乗った手前、企画には苦労してるみたい。水戸芸術館も人が来なくて困ってるらしいけど。個人的にはどうしても高松市美術館のが惹かれる企画が多かったりもする(川崎市市民ミュージアムと似た系統か、今は「フンデルトワッサー展」)。
 そんで今回は“アメリカ現代美術の変遷を語るときに見過ごされがちなアジア系芸術家の作品に光を当てた展覧会”だったんだけど、そもそもそのへんの時代的な把握をしてないので、位置付けが全然できなかった。スンマセンて感じ。見て単純に面白かったのは書の再構成。なかでも、イサム・ノグチの「タイポグラフィック」という鉄板打出し(?)の作品がよかった。骨のような、漢字の要素のような、ユーモラスな形。そもそも僕は現代美術だと平面よりは彫刻(石と鉄)が好きで、彫刻家だとイサム・ノグチが好きな部類なもんだから、しょうがないといえばしょうがない評価ではあるんですが。
 美術館の図書室で雑誌を読む。『美術手帖』の村上隆の特集が面白くて、現物を見たくなった。図書室、いい感じの部屋なんだけど、誰が利用してますか、と思う。下の階に市立図書館があるのも微妙な感じ。
 屋上。すごくいい空間。丸亀に行く機会があったらぜひここは上がってみてください。中の展示を見なくても、自由に行けるようになっています。
5月16日(日)
ゆめタウン
 高松の郊外にできたショッピング・センター。かなり大きい。でも『ジャッキー・ブラウン』に出てきたショッピング・センターほどは大きくない(当り前だ)。
 おもちゃ屋だけで何軒も入っているのだが、そのうちの一軒でサターン用のソフトが480円均一で売られていた。スーファミのソフトだってここまで安くないぞ。
 店は国道沿いなんだけど、反対車線へ出入りする車で交通が滞らないように、国道をまたぐ専用道路が作られている。もちろん私道のはずなんだけど、本来、国道の上には私道とか作っちゃいけないのである。どうなっているのかというと、建設費は会社持ちで、建設主体は高松市ということにして、名目上市道ということにしたのだ。実はこの会社が広島資本で、亀井静香の圧力があったらしい。なんとベタな。
『トイレの花子さん』(レンタル)
 『学校の怪談』の後追い企画だと思ってナメてたら、思わぬ拾いものだった。特撮カットなんか1コもない、まったく違うジャンルの映画。配役もいいし、行き届いた演出で、とても丁寧に撮られていて、感心した。
 前田愛がムチャクチャ凄かった。うー、ほかの出演作も当たるか。
5月17日(月)
ドライブ(横峰寺、しまなみ海道)
 両親と三人で車で出かけた。運転は父である。高速道路(ぜんぜん混んでない)を小松で下りて石鎚山の方へ。
 横峰寺(よこみねじ)は四国霊場で最後まで自動車による訪問が困難だった寺。今もメジャーな道を通ると最後はしばらく歩かないといけない。今回は裏道を行くことにして、黒瀬峠の方から林道(有料、乗用車1800円)に入ってぐねぐねと上る(マウンテンバイクで行く場合)。急峻な山である。香川県にはこういう地形はないなあ、オムスビみたいな丸い山ばっかりで。
 駐車場から数百メートル歩くとお寺があって、名物の石楠花がいっぱいに咲いている。いい雰囲気。大きな庫裏が新築中だった。
 山を下りて今治(いまばり)へ向かう。
 瀬戸内しまなみ海道。それは最後の本四架橋。テレビで久米宏が「なんで3本も作るんでしょうね」と言っていたが、そういう言い方は何の発展性もないのでやめてくれ(不毛な反論「2本ならいいのか」「東京湾横断道は必要なのか」「不満があるなら使うな」云々)。そもそも「四国」という発想が四国の人間には稀薄で、四県はバラバラなのである。言葉も文化も違う。B29も避けて飛んだという四国山地が地域を分断してきたのだ。高速道路ができてからは移動も多くなってきたけど、基本的には変化ないと思う。徳島は大阪と交流があるし、香川からは岡山のが近くて、愛媛は広島とか大分に縁があり、高知は海を向いている。要するに、高知には橋を架ける先がないから本四架橋は3本しか作らなかったのである。
 しまなみ海道の橋どもは、瀬戸大橋の橋どもとは見た目の印象が全然違う。瀬戸大橋はなんたって鉄道が走っていて、しかも新幹線でも通せる設計なので、とにかくゴツい。橋桁が重いのでケーブルも太い。それに比べると、今治の糸山公園から見た来島海峡大橋は白くて薄くて、まるで紙細工のようだ。自転車の人が気持ちよさそうに見える(しまなみ海道は自転車で走れる)。スポーツタイプの自転車はあんまりいないな。
 公園には、平日というのに橋の見物に人がたくさん来ていた。暇な人はたくさんいるものだなあ。
 休憩所で郵便局の人が出張販売をやっていて、平山郁夫が描いたしまなみ海道の橋どもの絵葉書(官製はがきでそのまま出せる)10枚セット700円を購入。売店ではもちろんタオルも売っていた。今治の特産品なんだけど、案の定、とてつもなく景気が悪いそうだ。大変だなあ。
5月19日(水)
『平成狸合戦ぽんぽこ』(レンタル)
 テレビでやってたのをチラっと見ただけだったんだけど、多摩ニュータウンを探検していて興味が湧いたのであらためて見てみた。変な映画。これだったら『耳をすませば』のが、ああいう街の捕まえ方として面白いのでは。
 時代考証でいくつか目についたこと。多摩ニュータウンの建設が始まった時期には、マクドナルド・ハンバーガーはまだ日本に存在しなかった。狸たちが相談を始めてハンバーガーを食っている頃には、既に入居が始まっていたことになる。それから、妖怪道中の大パフォーマンスの実施時期は、住人が使っていたビデオカメラのデザインからして、1989年以降と思われる。……これ、もしかすると、わざとなのかなあ。そもそもの時計が狸と人とではズレていて、狸が一所懸命に反対運動を準備してる間に、人間のニュータウン建設はあらかた終っていた、という話なのかも。
5月22日(土)
結婚式(宇多津セント・カテリーナ教会、11:30〜)
 高校の部活の1コ下のZと3つ下のYの結婚式。ものごころついてから結婚式というのに出るのは初めてだったんだけど、いやー、しんどかった。何かのはずみで結婚したり子どもができたりするのはいいけど(いいのか)、結婚式とかぜってーやんねー、という認識を強固にしちゃった。
 “教会で結婚式”というのは、まあ教会なら教会でいいけど、しかしふだん礼拝とか全然やってない「ウェディング・チャペル」というのはまったく理解できない。何だそれは。すごげなラブホテルの隣に建ってるので、経営者は同じじゃないかと思うんだけど、どうかしら。
 そんで、愛し合う二人がふだん絶対見ないとんでもないカッコで、ふだん思ってもいない神様になにごとか誓っているようすを、チャペル内に設置された数台のリモート・コントロール・カメラが一部始終監視・記録しているのである。何だそれは、耐えられない。死にたくなる。うわー、やめてくれ(て言っちゃダメかな)。
 まあ救いは身内の人以外はほぼ全員うちの部の連中だったということか。気が置けない奴ばっかりで、そういう意味では楽だった。
 お昼、おか泉(せん)で冷天(ひやてん)おろし。(「おか泉」で検索:フレッシュアイインフォシークヤフー/goo
 半日置いて夕方から友達連中で二次会、三次会。去年は部の忘年会がなかったのでひさびさに大勢で集まった感じ。坂出の鎌田(カマダ)醤油がやってる蔵椿という店と、SATYのカラオケ。帰りはがトラック(ってDATSUNとかの)で送ってくれた。
5月25日(火)
相模原市立博物館
 企画展は「都市化の中のくらし ―生活様式と生活用具の変化―」。軍都として整備され、高度成長期に爆発的に都市化した相模原(いま人口60万)のようすと、生活用具の変遷。50年前の将来構想図とか、航空写真とか。炊飯器、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、ラジカセ、パソコン、その他家電製品なんかがよく収集されていた。もしかしたらこういうのって勝手に集まっちゃうのかもしんないけど。
 プラネタリウム『はるかなる月をめざして 〜ジュール・ベルヌの世界、そしてアポロ計画〜』。15:50の回、19人。ここはけっこうデカいドーム(23m)で、全天周映画もやってる。それでアポロの映像(だけ)を期待して入ったんだけど、ガッカリ。11号がほんのちょっと出ただけ、それもダビングした家庭用ビデオみたいな画質。これだったら家でアポロ13号の映画のビデオ見たほうがいいやと思った。全体の内容もイマイチだった。
5月29日(土)
NHK技研公開
 今年はニュースでも大々的に宣伝してるなあと思ったら、ずいぶん力が入っていた。客もむちゃくちゃ来ている。例年の手作りっぽいのとは違う雰囲気のところも多くて、案内のおねーさんとかもいたりして。ポスターのコピーは「テレビのことなら、秋葉原より砧へ行こう。」ナイス。
 全体の展示内容は、アイディアとして目新しいものは少ないけど、実用化されてたり、実用に向けて開発の進んだものが多いなという印象。いちばん力が入ってたのはBSデジタル放送関連で、どうやら今年が正念場らしい。民放も一蓮托生なので、フジとかTBSとかのブースもあった。
 とにかく人が多かったので、大体知ってるところは飛ばして見た。立ち止まってじっくり見たのはスペースシャトルからのハイビジョン映像。これ、どんな機械を持ち込んで撮ったのかと思ってたら、現物が展示してあって、見て驚いた。ソニーの「HD CAM」というカムコーダーで、これがまるっきりベーカムと同じサイズなのだ。デジタルハイビジョンて、何年か前の展示で試作以前の試作機(信号は記録できるけど絵が出ない)が展示されてたのを覚えてるけど、ここまで来てたのか。凄い。
 技術方面で面白かったのは、ニュースでもやってたけど、アナウンサーの読んだニュースをリアルタイムに字幕化する装置。まだ精度と速度が出ないので実用にはならないんだけど、いい線行ってる感じ。汎用性も高そう。
 あとは“デジタルズームしてもハイビジョンの画質を維持する”超高解像度カメラ。CCDは800万画素。まあ構成はプリズム分解で200万画素×4なんですが。
 僕がずいぶん前に考えた“近未来の報道カメラマン”というのがあって、これは、ただ旗竿みたいな棒持って立ってるだけなの。棒のてっぺんに、全天の全方向を超高画質で撮影するカメラがついていて、録画しっぱなし。光学的な操作は一切行わない。HMDで見ながら必要なところを拡大したりするけど、それはあとでディレクターがやっても同じ。リアルタイムで編集(画角決定)するときも、録画素材には変化はなくて、映像にそういうマーキングが入るだけだから、あとでいくらでも再編集できるというもの。どうでしょう。とりあえず100億画素ぐらいあれば足りるのかなあ。問題は録画装置だな。
 バス停のある正門から入ったところに、いい感じの庭があったんだけど、今年は工事現場と化している。地域のランドマークだった電波塔は去年の11月に撤去済。今度は、もとの鉄塔と同じぐらいの高さのビルが建つのだ。あれもこれも、みなさんからの受信料で実現されています。国営放送なら国から予算が出るんだろうけどね。
アニッシュ・カプーア展(SCAI The Bathhouse)
 きょうの第二目的、谷中の銭湯跡のギャラリーへ。二三日前にたまたま知った掲示板で、変テコな“穴”があるのを知って、あんまり面白そうなもんだから見に行った。この日が会期の最終日。
 世田谷から谷中までの最適ルートがよく分らない。皇居の北を通る方が近かったのかもしれないけど、なんとなく南を回る。途中、本郷に人が出ているなと思ったら五月祭をやっていた。中は見ないでパンフだけ買う。五月祭は「大学祭」じゃなくて「学園祭」っていうんですね。
 銭湯を改造したギャラリーは、なかなか親しみやすい雰囲気。ガラガラと引き戸を開けて入ると、10人ぐらいの人がそれぞれくつろいだりウロウロしたりしている。
 問題の作品は、会場のコンクリートの床に敷いてあった。50cm四方の、黒に近い紺色の布。材質はたぶんフェルト地かベルベット。そのようにしか見えない。ずいぶん近寄っても、周囲をぐるぐる回っても、四角い布にしか見えない。穴と知っていても、穴らしい属性がほとんど感じられないのだ。つい触ってみたくなる。
 しかし、これを穴として認知するのに“手を突っ込んでみる”のはちょっと違うなと思った。騙されているのは視覚なんだから、純粋に視覚的に対決したい。そこで「明りで照らしていいですか」とギャラリーの人に訊いてみると、そんなこと言う人は初めてだという。自転車のバッテリーライト(4.8V、クリプトン球)を持ってきて点けると、布が穴に化けた。
 ああ、中はすっかり丸いんだなあ。開口部よりずっと大きく掘られていて、深さ直径とも1mぐらいか。しかし目を凝らしても、どういう材質なのかは判断がつかない。さらに面白いのは、明りを消すと、しばらくは穴として見えているのが、時間が経つとやはり布に戻ってしまうのである。ふつう、騙し絵とか、もっと即物的なエクスプロラトリアム風の“凸面に見える凹面”とかの装置でも、一旦仕掛けがわかるとその後は意識的に操作できるものが多いのに、これはかなり強烈だ。うーん、おもしろすぎる。
 展示作品は他に4点あったけど、穴は抜群に面白い。自分で真似して作ってみたい気もするけど、難しそうだなー。
 5月19日の朝日新聞夕刊に出てたレビューのコピーがファイルされていた。たまたまアジア系アメリカ人芸術家1945−1970:伝統と抽象とセットで紹介されていたので両方読む。批評家の人はうまいこと書くもんだなあ、と思いました。
あかね
 せっかく谷中まで出たので、早稲田へ回ることにする。きょうあかねでなんかイベントがあるというのを見た気がした。ていうか、ホントはゲイ・スタディーズの勉強会みたいなのが早稲田であって、それ覗きに行こうと思ってたんだけど、ずいぶん遅くなったのでやめて、直接あかねへ。
 食事するつもりで行ったら、あかねって土曜の昼はやってないんだな。ただ、空いてる時間を利用して、マッサージ修行中の人がマッサージ(の練習)をやっている。まあ涼んでいきなよ、と言われたのでちょっと休憩するつもりでいたら、マッサージ(の練習台)が終って帰ろうとしていた人に「もしかして松永?」と声をかけられる。なんと、辞書ゼミでいっしょだったTTだった。うーむ、なんという偶然だ。偶然て言わないのかもしれないが。
 なんでも、2年前から出入りしているそうだ。そういえば掲示板に同じ名前の人がいるなとは思っていたんだけど、まさか本人とは思わなかった。何年ぶりか、もしかしたら卒業の前後に鶴川のちどり食堂(もうやってないみたい)でメシ食って以来だったかも。あとで、このマッサージ(の練習)はTTがきっかけで始まったようなものだ、とマッサージ修行中のNさんに聞いた。僕も練習台にしてもらったら、背中が重かったのが、面白いようにとれちゃった。
 結局夜の部までいて、10時まで飲む。ベオグラードのラジオ局支援関連の音楽イベントはけっこう盛り上がってたようだ。帰りはしんどかったけど、水道道路を使って、2時間半で帰れた。また行こーっと。
5月30日(日)
20世紀のアメリカ版画(町田市立国際版画美術館、〜6/20)
 タイトル通りの企画展。摩天楼が建ち並び始め、ブルックリン橋のできた頃のニューヨークの情景を描いたものから始まって、リキテンスタインやウォーホルまで、一気に見せる。なかなか見応えがあった。
 気に入ったのはジャスパー・ジョーンズの「鉛のレリーフ」シリーズ。ほとんど彫刻に近いけど。
 生で見ると、特に抽象版画とか、出版物見てるだけでは想像できない色が出てて、こういう見慣れないものを見るのは楽しい。ウォーホルのマリリン・モンローも、あんな鮮やかなものとは知らなかった。
松永洋介 ysk@ceres.dti.ne.jp