連続企画「奈良少年刑務所の心をつなぐ」開催中

【奈良少年刑務所の心をつなぐ】…奈良少年刑務所は、建物は保存されるものの、更生プログラム等は継承措置がないまま廃庁に。どんなケアが行われていたのか?若者の立ち直りを見守ってきた人々の気持ちは? “塀の中”の実践事例を共有し、継承を図り、また広く社会と犯罪との関係について考えていく連続企画です。


㉜福知山線脱線事故から15年 遺族が語るこれまでのこと
【延期】2020年4月26日

講師:田中睦子

2020年4月26日開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、当面延期します。新たな日程がきまりしだい、あらためてご案内します。


㉛再犯を防ぐために何ができるか〜至徳会の試み
2020年2月16日

講師:髙村憲一(更生保護法人「至徳会」施設長))
https://www.facebook.com/events/2590384591050908/

日本は、人口あたりの殺人事件がほぼ世界最少という安全な国です。全体の犯罪件数・犯罪率も減少中ですが、そのうち、再犯の人の割合がなかなか下がりません。再犯をせずにすめば、日本はもっと安全になります。
「至徳会」は、旧奈良監獄/奈良少年刑務所のご町内にある更生保護施設。刑務所からの出所者を受け入れ、社会復帰につなげています。どんな人がいて、どんなことをしているのか。施設長の髙村憲一さんに伺います。


㉚わたしたちの宝 旧奈良監獄を考える
2020年1月26日

講師:石田潤一郎(建築史家・元京都工芸繊維大学教授)、乾井智彦(元奈良少年刑務所教育専門官)、寮美千子(作家・元奈良少年刑務所講師)
共催:古都奈良の自然・文化遺産を守る会
https://www.facebook.com/events/439710283382625/

国の重要文化財に指定された旧奈良監獄(奈良少年刑務所)。その110年の歴史は、地域の人々が育てたものでもあります。後世に残し伝えるべきは、煉瓦建築だけではありません。ここから再出発した少年たち、更生を支えた大人たちの姿も、忘れてはならない財産なのです。
旧奈良監獄は、今後どんな保存・活用が望ましいのか。みなさんと一緒に考え、提言していきたいと思います。


㉙絵本はこころの架け橋~絵本セラピー入門
2020年1月13日

講師:岡田達信(絵本セラピスト協会代表)
https://www.facebook.com/events/468602063859608/

10年前に絵本セラピスト協会を立ちあげ、絵本で人々の心をつなぐ「絵本セラピー」の活動をなさっている、岡田達信さん。「絵本セラピスト」の資格を持つ人は、すでに千人を超えました。
奈良少年刑務所の「社会性涵養プログラム」では、受刑者に絵本を朗読して表現すること、それを仲間に受けとめてもらうことで、大きな癒やしをもたらしてきました。その絵本の授業にも通底する「絵本セラピー」とはどんなものなのか。実際に、ワークショップをしていただくなかで、みなさんに体感していただきます。


㉘奈良にもある戦争の爪痕〜西田敦氏の写真帖から
2019年12月15日

講師:西田敦(写真家)
https://www.facebook.com/events/676420479535660/

「奈良には空襲がなかった」「アメリカは文化遺産を守るため京都と奈良の空襲を避けた」「アメリカの美術史家ラングドン・ウォーナー博士が奈良を攻撃しないよう提言した」と言われますが、すべて事実ではありません。京都は原爆の投下候補地の一つ。奈良にも空襲があり、いまも機銃掃射の跡が残っています。また多くの戦死者が出て、軍人墓も多数。
桜井市在住の写真家の西田敦さんは、奈良の戦争遺跡を丁寧に撮り続けてきました。写真を投影し、一つ一つ解説していただきます。こんなにも多くの戦争遺跡があることに、驚かれることでしょう。戦争は、人類最大の「犯罪」です。


㉗詩が開いた心の扉〜奈良少年刑務所の絵本と詩の教室
2019年11月23日

講師:寮美千子(作家・元奈良少年刑務所講師)
https://www.facebook.com/events/755817624854560/

『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』の寮美千子の講演。まだ聞いていないという人も多いので、この際、「れんぞ」で開催することにしました。なんとこの日は、わたくし寮美千子の誕生日! もう64歳だよ! 終了後ミニ誕生会も! みなさま、ぜひ!(寮)


㉖命の重さを伝える〜奈良少年刑務所の「命の教室」
2019年10月13日

講師:乾井智彦(元刑務所教育専門官・奈良県地域生活定着支援センター相談員)、新恵里(京都産業大学法学部准教授)

https://www.facebook.com/events/394370467927281/

殺人事件を起こした少年たち。再犯を防ぐために、どんな教育が行なわれてきたのか。奈良少年刑務所では、“被害者視点”を取り入れた「命の教室」を実践してきました。この教室の創案者の乾井智彦元教官と、外部講師だった新恵里さんをお招きして、お話ししていただきます。


㉕前科者の生きづらさ〜日常の中の差別と支援
2019年9月29日

講師:岡田良一
https://www.facebook.com/events/2357953784473637/

日本で起きている犯罪のうち、6割が再犯者によるものとの統計があります。いわゆる「前科者」が更生できない原因の一つには、社会からの強い差別の目があるのではないでしょうか。今回は、出所者の更生=再犯防止について、また出所者に限らず「差別」一般について考えてみたいと思います。
岡田良一さんは1961年生まれ。子ども時代を施設で暮らし、中学卒業後、生活苦から暴力団の一員になりました。刑務所服役中の10年前に、キリスト教信者の婦人との文通を通じて改心、更生を決意。出所後、犯罪に手を染めることなく、様々な活動を通して社会貢献しています。防災士、カウンセラー、救急救命士などの資格を取り、現在は、奈良市鼓阪地区で子どもたちの見守り活動を行なっています。「前科者」故に、差別を受け、理不尽な思いをしてきたことも多々あったそうです。これからは、青少年の更生の手助けになる仕事をしたいとのこと。どのようにして更生できたのか、その道のりについてお話しいただきます。


㉔ぼくは母と妹をあやめたのか〜満州引揚げの記憶
2019年8月25日

講師:村上敏明
https://www.facebook.com/events/718483771900167/
村上敏明さんは、昭和9年、京都府亀岡市生まれ。満州からの引揚者だ。引揚げの途上、母と妹を喪っている。母親に、医師がくれたいつもと違う薬を飲ませたところ、口から泡を吹いて息絶えてしまったという。その後の記憶が飛んでいる。村上さんは、このことを70年間、語ることができなかった。現在は、戦争の語り部となり、原発反対運動にも足を運んでいる。
戦争の記憶が薄れるなか、ぜひ村上さんの生のお声をお聞きしたく、お招きしました。みなさま、ぜひ!


㉓津久井やまゆり園事件についてみんなで語りあう〜その背景と今後
2019年7月21日

講師:須河浩一(いづみ福祉会)
https://www.facebook.com/events/454658145286569/
3年前の7月26日、神奈川県の障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で元職員による入所者殺傷事件が起きました。被告に拘置所でインタビューを重ねてラジオ番組をつくった神戸金史記者を5月18日にお招きし、話を伺いましたが、モヤモヤした思いは募るばかりです。そこで、さらにこの問題を深く考えるため、木津川市の障害者施設「いづみ福祉会」の須河浩一さんをお招きして、ご来場のみなさまと、対話を深めたいと思います。


㉒わりと知らない在日韓国人の日常〜カオリンズ トーク&ライブ
2019年6月23日

講師:山本香利・カオリンズ
https://www.facebook.com/events/2531241000249090/
山本香利さんが夫の内村育弘さんと二人の音楽ユニット「カオリンズ」を結成して歌いだしたのは、東日本大震災のあとから。いま、多くのプロテストソングを歌い、大阪を中心にライブ活動をなさっています。
「はげしいイジメを受けた記憶はない」という香利さんですが、あらためて聞いてみれば、在日であるということで、選挙権がないことをはじめ、さまざまな差別的待遇を受けてきました。在日とは? 帰化するとは? 前半は、香利さんのトークを。後半は、お二人のライブをたっぷり楽しんでいただきます。


㉑津久井やまゆり園事件・植松被告にインタビューして考えたこと
2019年5月18日

講師:神戸金史(RKB毎日放送)
https://www.facebook.com/events/996467110555785/
2016年、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、19人の命が奪われた事件があった。福岡のRKB毎日放送報道制作局の神戸金史(かんべ・かねぶみ)記者は、障害を持つ子の親として大きな衝撃を受け、植松被告に面会を申し込んで対話を行なった。自己を正当化し、一向に反省の色を見せない植松被告。彼はなぜ、障害者を殺すことを「正義」であると思うに至ったのか。何が彼にそうさせたのか。
植松被告との対話を重ねていらした神戸金史さんをお招きして、お話の会を開きます。「命の意味」や「生産性」を問う圧力とは? 障害を持つということは? お話を伺い、語りあいましょう。


⑳どこより自由な自助グループ「三重ダルク」〜依存症からの大脱出
2019年5月12日

講師:市川岳仁(三重ダルク)
https://www.facebook.com/events/1524880550985292/
ピエール瀧さんが違法薬物使用容疑で逮捕され話題になりましたが、薬物依存はいま社会の大きな問題です。
ダルクは、薬物依存者のための自助組織。当事者らが互いに支援しながら回復に向かう仕組みです。「患者」と「仲間」はどう違うのか。「診察」と「ミーティング」はどこが違うのか。なぜ「回復」できるのか。「回復」とはなにか。自由でのびのびとした活動をしている三重ダルクの市川岳仁さんのお話をお伺いします。


⑲こども支援・おとな支援・じぶん支援〜自分が大好きな大人になるために
2019年4月14日

講師:乾井智彦(元奈良少年刑務所教育官)
https://www.facebook.com/events/2275887546017562/
奈良少年刑務所で2007年から足かけ10年間続いた絵本と詩の教室「社会性涵養プログラム」は、刑務所の教官である乾井智彦先生と竹下三隆先生とともに作ってきたものでした。最初から最後まで、ずっと一緒だったのが乾井智彦先生。奈良少年刑務所廃庁の後は女性のみを収容する和歌山刑務所に転勤。3月に定年を迎えられます。今回は、乾井先生をお招きして、お話ししていただきます。


⑱元刑務官が語る刑務所の実態〜更生教育から死刑まで
2019年3月17日

講師:坂本敏夫(元刑務官・ノンフィクション作家)
https://www.facebook.com/events/2915190611839773/
坂本敏夫さんは1967年から1994年まで27年間、刑務官として各地の刑務所に勤務。
退職後は体験をもとに本を執筆し、ノンフィクション作家として、また映画などの刑務所シーンの監修者としてご活躍です。
2010年に東京拘置所死刑場がメディアに公開されたのを機に『実録死刑囚』を上梓、2011年からは死刑反対を表明なさっています。
現場にいらした方だからこそお話しいただける刑務所の実態、死刑執行の実際などについてうかがいます。


⑰あなたのままで百点満点 自己肯定感を育てる親子関係のつくり方
2019年2月17日

出演:長谷川満(家庭教師システム学院代表)
https://www.facebook.com/events/320350492136436/
長谷川満さんは兵庫県加古川市の家庭教師派遣会社「家庭教師システム学院」の代表。いわゆる「できる子」の学業成績をのばすだけでなく、不登校や発達障害など、学校や学習になじめないでいる子どもたちについても数多く指導し、状況を改善しています。「子どもを変えるのではなく、子どもを見る親の視点を変える」ことで、子どもたちが本来持っている力を引き出すのだといいます。
さらに「まずは親への教育が必要」と、2006年からは「ペアレントセミナー」を主宰。講師として数多くの講演をなさっています。
奈良少年刑務所の「社会性涵養プログラム」でも重視された、「子どもの自己肯定感」をいかに育てるかについて、経験からお話しいただきます。


⑯そんな親なら捨てちゃえば?〜虐待サバイバーたちの声に耳を傾ける
2019年1月20日

講師:松戸さち子(出版社「dZERO」社主)
https://www.facebook.com/events/1043697535807434/
1994年、福井県丸岡町の『日本一短い「母」への手紙 一筆啓上』が100万部を越えるベストセラーになりました。しかし、その陰で、親への感謝と賛美の言葉になじめない人々が数多くいました。それは、虐待されて育った子どもたち。親を憎んではいけないのか、親を愛せない自分はダメな人間なのか。「親を敬い愛するのは当然」という世間の風潮は、彼らをさらに追いつめました。
そんな“虐待サバイバー”たちの声を集めた『日本一醜い親への手紙』(メディアワークス刊)が発表されたのは1997年のことでした。それから20年後の2017年、虐待問題へのとりくみが十分に社会化されないなか、新たに刊行されたのが『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(dZERO刊)。親に虐待された人々から「親への手紙」を募り、100名分を収録した本です。
dZERO社主の松戸さち子さんを迎え、出版の経緯や反響などうかがいます。奈良少年刑務所の収容者にも、虐待に由来する「生きづらさ」を抱えたままの者が数多くいました。虐待の問題について、あらためて知る機会にしたいと思います。


⑮社会性涵養プログラムとはなんだったのか
2018年12月16日

講師:細水令子(京都工芸繊維大学カウンセラー・元奈良少年刑務所統括官)
https://www.facebook.com/events/1068795743313129/
奈良少年刑務所で2007年から足かけ10年間続いた絵本と詩の教室「社会性涵養プログラム」は、矯正教育畑を歩んできた細水令子統括官が、長年温め、企画してきたものでした。刑務所の中でももっとも困難を抱えている人々のために、どのような教育プログラムが適切であるか。絵本や詩、美しい言葉で心を耕すには、どうすべきか。前半は、その理念と実践についてうかがいます。後半は、更生教育の中で出会ってきたさまざまな女性についてお話しいただきます。


⑭更生に携わり30年 保護観察官の想い〜さまざまな少年に出会って
2018年11月25日

講師:浦野浩昭(京都保護観察所長)
https://www.facebook.com/events/440291626494353/
京都保護観察所長である浦野浩昭さんに、さまざまな事例の紹介とともに、保護観察の現場での思いを自由に語っていただきます。


⑬法務大臣政務官の席から見てきた日本の行刑政策
2018年10月21日

講師:中村哲治(元法務大臣政務官・衆院議員・参院議員)
https://www.facebook.com/events/1857613950989215/
鳩山内閣と菅内閣で法務大臣政務官という大役を務めた中村哲治さんに、わが国の行刑政策についてのお話をうかがいます。


⑫奈良少年刑務所は一大職業訓練所だった〜“塀の外”より高かった資格合格率
2018年9月16日

講師:田中睦(元奈良少年刑務所IT講師)
https://www.facebook.com/events/478730002592908/
奈良少年刑務所は、一大職業訓練所でした。1964年には少年刑務所としてはじめて総合職業訓練施設に指定、社会復帰のためにさまざまな職業訓練を実施。各種資格も取得できました。時代による変遷をへて、最終的には14種目がおこなわれていました(理容科・電気通信設備科・建築科・クリーニング科・介護福祉科・内装施工科・情報処理技術科・ビルハウスクリーニング科・農業科・溶接科・ビジネススキル科・木工科・金属科・印刷科)。
今回の「心をつなぐ」は、このうち情報処理技術科の指導を担当していた田中睦さんのお話です。難関として知られる国家資格「情報処理技術者試験」に向けた指導では、一般の合格率が2割台のところ、田中さんの教室では5割を超える合格率を誇ったといいます。分数ができないような子もはいってくるのに、なぜそんなに伸びるのか。驚きの指導の実際や、外部講師からみた受刑者や刑務所のようすについてうかがいます。


⑪奈良少年刑務所詩集・みんなの朗読会
2018年8月26日

出演:朗読で参加のみなさま
https://www.facebook.com/events/207571849759982/
今回の「心をつなぐ」はオープンマイク。『空が青いから白をえらんだのです』『世界はもっと美しくなる』2冊の奈良少年刑務所詩集で受刑者の詩に感動なさった方、ぜひ参加して朗読し、その感動を語ってください。朗読は希望者先着10名さま。お早めにお申し込みを。聞くだけの方も歓迎です。


⑩仲間がいたから離脱できた!〜アル中で入院48回、しらふへの生還
2018年7月22日

講師:渡邊洋次郎(介護福祉士)
https://www.facebook.com/events/1781448555208828/
渡邊洋次郎さんは現在42歳。依存症との壮絶な戦いを経て、お酒や薬から「離脱」して丸9年になる。
かつて薬物とアルコールに依存し、離脱のための自助グループにも顔を出したが、離脱することはできず、入退院を繰り返した。30歳までの10年間で、48回も精神病院への入退院を繰り返し、窃盗で刑務所へ。父親の死に目に会えなかったことが、大きな後悔となった。
33歳で刑務所から出所後、自分の無力を認め、再び自助グループに参加するようになってはじめて、回復への道を歩むことができた。周囲から見放され、自分ですら自分を見放したくなるような絶望の人生を変えたのは、何だったのか。体験からお話しいただきます。


⑨真相究明への願い〜ある海外未解決殺人事件・遺族の声
2018年6月17日

講師:船木洋志(殺人事件被害者遺族)
https://www.facebook.com/events/167214547256217/
殺人事件被害者の遺族は、事件で心に大きな傷を受けるだけではなく、“世間”によってさらに深い傷を負わされることがあります。ことに未解決事件である場合、その痛みははかりしれません。日本では、犯罪被害者や被害者遺族への支援が充分とは言えません。「加害者を支援して、被害者の人権はどうなるのだ!」という声も大きく、加害者の更生に不可欠な社会的支援を阻む原因にもなっています。
船木洋志さんは、26年前にアメリカでお兄さまを殺され、事件は未解決のままです。当事者からの貴重なお話を伺います。


⑧人間だれもが弱い存在〜安全な社会を作る福祉の網の目
2018年5月20日

講師:須川浩一(社会福祉法人いづみ福祉会)
https://www.facebook.com/events/1981995342116226/
弱さを抱えずに生まれ育ってくる人間はいません。大半の人は、その「弱さ」に適切な支援があったからこそ、「弱さ」は「障害」にならず、また「犯罪」に結び付かずに生きていられるわけです。支援からもれたからこそ、追い詰められて犯罪を犯さざるを得なかった、ともいえます。多くの犯罪の原因は「人間の弱さ」。人間の本質は「性善説」でもなく「性悪説」でもなく「性弱説」ではないでしょうか。
私の仕事から見える障害児・者や犯罪者(触法障害者)や非行少年の現実、支援システム、障害や犯罪をどのように分析すればよいのかを整理するためのシンプルなモデル、防犯や非行防止対策の都市伝説、犯罪に結びつく心理的な特性など、話をしたいと思います。


⑦「詩は心の鍵」〜ホリスティック教育から見た社会性涵養プログラム
2018年4月28日

講師:成田喜一郎(元東京学芸大学大学院特命教授)
https://www.facebook.com/events/542513022783193/
奈良少年刑務所で十年間行われた独自の更生教育、社会性涵養プログラム。その普遍的価値と、ご自身の研究テーマ「ホリスティック教育」との関連に着目した成田喜一郎さん。社会性涵養プログラムを学問的に位置づけようと、刑務所内の授業にも自ら参加して研究を進めようとした矢先、奈良少年刑務所が廃庁となり、中断を余儀なくされました。
その研究を再開なさるという成田さんに、これまでの実践と、奈良少年刑務所で培われてきた教育プログラムの今後の展開の可能性について伺います。
成田さんのギターと歌もあります!


⑥『犯罪と非行』100枚の表紙〜デザイナー平野湟太郎の仕事
2018年3月25日

講師:平野湟太郎(平野湟太郎デザイン研究所)
https://www.facebook.com/events/1010478925770181/
犯罪や非行を犯した青少年に対する各種支援、また犯罪や更生保護についての研究を行ってきた、旧日立みらい財団。その機関誌『犯罪と非行』終巻までの14年間、50号にわたって表紙写真を撮ったデザイナーの平野湟太郎さんに、さまざまなお話を伺います。
平野さんは2010年に東京・代官山から事務所ごと奈良に移転した、吉野町在住の世界的デザイナーです。東京国立博物館法隆寺館や国立国会図書館関西館のサインデザインを担当。奈良では東大寺の仕事や「珠光茶会」のデザインも手がけています。東京時代には、寮美千子の泉鏡花賞受賞作『楽園の鳥』の装丁も。また『犯罪と非行』の表紙には、奈良少年刑務所が何度も登場しています。


⑤奈良監獄の煉瓦はどこから?〜女・こども・没落士族・囚人たちが作った煉瓦
2018年2月11日

講師:山岡邦章(関西煉瓦流通研究所所長・岸和田市教育委員会)
https://www.facebook.com/events/178674559381562/
旧奈良監獄/奈良少年刑務所は、明治41年に作られた名煉瓦建築です。囚人たちが自分たちで煉瓦を焼いたと言われていますが、詳細は不明です。また調査により、塀には堺で作った煉瓦が使われていることもわかりました。
関東大震災の起きた大正12年以降、煉瓦建築はほとんど作られなくなり、廃れてしまいました。かつて、一世を風靡した煉瓦。関西には、堺や岸和田に大きな煉瓦製造会社がありました。
煉瓦の研究をなさっている山岡邦章さんをお招きして、煉瓦産業がどのような役割を果たしたのか、どんな人々がその労働に従事したのか、明治の煉瓦が背負った日本独特の宿命について、お話をお伺いします。


④SOSを出せなくて〜依存症への落とし穴
2018年1月21日

講師:倉田めば(大阪ダルク・ディレクター)
https://www.facebook.com/events/111713416270714/
倉田さんは、薬物依存者のリハビリ施設・大阪ダルクで、自らが薬物依存症から回復してきた経験を踏まえながら、支援や相談を行なっています。人はなぜ依存症になるのか? そこからの回復の道は? 「ダメ。ゼッタイ。」の標語が、どれだけ依存者の回復を妨げているか。薬物依存について知れば知るほど、世間の常識とは違う、真の回復への道が見えてきます。「依存できる場ができて初めて依存症からの回復が始まる」を掲げるダルクでの実践をもとに、お話しいただきます。


③歌が救ってくれた〜覚醒剤とガンからの生還
2017年12月24日

講師:青木ペイ釣ケイスーケ(ミュージシャン)、いちもとみつる(ミュージシャン)
https://www.facebook.com/events/155451288539434/
「奈良少年刑務所の心をつなぐ」第3回は青木ペイ釣ケイスーケさんのクリスマス・ライブと、オープンマイク。
前半は「ペイ釣&ザ・ヒロポンズ」の歌と青木さんのお話を、後半は「奈良少年刑務所詩集」のなかから、みなさんの好きな詩を選んで朗読していただくオープンマイクです。
青木さんは、20代初め、覚醒剤の使用で奈良少年刑務所に服役しました。パンクロックへの憧れから、ヤバイ薬に手を出したといいます。現在は薬物から離脱して、ミュージシャンとして活躍中。その魂のある渋い歌声に、わたし(寮美千子)は一発でノックアウトされ、ファンになってしまいました。「心をつなぐ」のシリーズに歌のボランティアで友情出演していただきましたが、もっと聞きたい!という声も大きく、青木さんのライブとお話の会を企画しました。
奈良少年刑務所時代のお話や、どのようにして薬にはまっていったのか、どのようにして離脱できたのかについても、お話ししていただきます。青木さんは、昨年暮れ、ガンで医師から余命宣告を受けましたが、現在元気に闘病中。歌うことが生きる力に。みなさん、ぜひ応援してください!
後半のオープンマイクは、時間のある限り、どなたでも参加できます。以下の2冊のなかから選んで朗読してください。
『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』『世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集』
どんな方が、どの詩を選んでくださるのか、楽しみです。
心の熱くなるクリスマスイブを!

⇒NHK報道の動画 2018年1月31日


②「ぼくのミルクは缶コーヒーだった」〜加害者になる前に被害者だった
2017年11月26日

講師:小暮芳信(NPO法人釜ケ崎支援機構職員)
https://www.facebook.com/events/1952817385041380/
「奈良少年刑務所の心をつなぐ」第2回は「加害者」の立場だった方にお話を聞かせていただきます。
講師は、小暮芳信さん。詐欺グループに加わり、免許証偽造の罪で服役しました。彼が偽造した免許証があまりに精巧だったため、その後、免許証にICチップが組み込まれたという逸話の持ち主。なぜ、ぬきんでた能力を社会に生かせず、詐欺グループに加わったのか。その背後には、筆舌に尽くしがたい過酷な生育歴がありました。
また、服役した官民協働刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根県浜田市)で受けた更生教育についても語っていただきます。
重大犯罪の背景と更生教育の価値について考える、貴重な機会となるでしょう。
今回も前回に引き続き、青木ペイ釣ケイスーケさんを特別ゲストにお招きし、歌っていただきます。青木さんは奈良少年刑務所の卒業生。現在はミュージシャンとしてご活躍中です。お楽しみください!


①北風と太陽〜心を開いた詩の教室とは?
2017年10月22日

講師:竹下三隆(元奈良少年刑務所教育官)
https://www.facebook.com/events/1741996396104958/
奈良少年刑務所で、寮美千子・松永洋介とともに「社会性涵養プログラム」を作り上げてきた元教育官の竹下三隆さんに、更生の本質についての話を伺います。
奈良少年刑務所で足かけ10年続いた「社会性涵養プログラム」の詩の授業は、少年たちの心の扉を開く成果を上げ、注目されてきました。これは、刑務所の教官と外部講師らが手探りで作りあげてきたものです。その方法論の核を提示したのが当時の教育官で臨床心理士の竹下三隆先生。「北風より太陽」というこのプログラムの本質について、外部講師だった寮美千子・松永洋介を交えて話を伺います。
「かくあるべし」という規範意識を脱ぎ去って、自由になること。別の自分に変わる必要はなく、本来の自分に戻ること。身につけてきた鎧が、実は自らを縛る重荷だったかもしれず、それを脱ぎさると、自由でしなやかな世界が広がっているということ。いまを生きるヒントのたくさん詰まったお話が聞けると思います。

イベント(終了):2017年8月31日〜9月5日「産業遺産写真展とそれぞれの遺産展」こうべまちづくり会館

2017年8月31日〜9月5日、写真展「産業遺産写真展とそれぞれの遺産展」が開催されます。神戸・元町のこうべまちづくり会館B1F。9時半〜18時(初日13時から。最終日17時まで)。奈良少年刑務所を宝に思う会は、旧奈良監獄/奈良少年刑務所の現役時代の写真パネルを20点展示します。

  • 『ニッポンの産業遺産』前畑洋平・温子(NPO法人J-heritage)…我が国の近代化・経済成長を今に伝える産業遺産。遺産特有の景観は過去への旅に誘ってくれる。展示では全国30箇所の産業遺産を紹介している。写真を通じて先人からのバトンを受け取ってもらう機会が作れれば嬉しい。
  • 『昭和モダン建築遺産』北夙川不可止&黒沢永紀…東京と京阪神に現存する、狂騒の20年代を今に伝える珠玉の近代建築遺産。文化コラムニスト、北夙川不可止の文章と、軍艦島伝道師、黒沢永紀の写真によるフォトブック『東西名品昭和モダン建築案内』(洋泉社)より抜粋。
  • 『現役時代の奈良少年刑務所(旧奈良監獄)』奈良少年刑務所を宝に思う会&ならまち通信社(撮影:上條道夫)…今年、建物が国の重要文化財に指定され、刑務所としては廃止された奈良少年刑務所。今後は行刑史料館として再出発、ホテルも併設される予定です。2010年に撮影した、現役時代の美しい姿です。
  • 『交通遺跡』なな爺(特殊同人 電幻開発)…産業が生まれ人々が住むと交通が発生するように、産業が消え人々が離れるとそこには交通の跡が遺される。鉄道こそが交通だった時代、鉱山や林業が盛んだった時代、交通網の整備が過剰になった時代、時代の変化は遺跡となって埋もれている。
  • 『街に隠れた団地の美』けんちん&たまぞう(団地愛好家集団『チーム4.5畳』)…大量生産された画一的なハコと思われがちな『団地』。しかし、実は設計者の創意工夫や試行錯誤の賜物なのです。その住環境の素晴らしさと美しさを写真を通してお伝えできればと展示に参加させていただきました。

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イベント(終了):2017年7月15日に奈良少年刑務所見学会開催 一般参加者募集(6月10日〆切)

2017年7月15日、奈良少年刑務所(現・奈良拘置支所、重要文化財旧奈良監獄)の見学会が開催されます。産業遺産の見学・記録・活用に力を注いでいるNPO法人J-heritageが窓口となり、一般参加者を募集中。電子メールで申し込み、抽選で選ばれた方が参加できます。今後は民間に委託されるため、行刑施設としてはおそらく最後の見学会となります。
申し込みや参加の詳細は、以下のJ-heritageサイトをご参照ください。
奈良少年刑務所見学会(J-heritage ジェイ・ヘリテージ)

山下洋輔会長コメント:旧奈良監獄・奈良少年刑務所を重要文化財とする文化審議会答申について 2016年10月21日

▼奈良少年刑務所を宝に思う会・山下洋輔会長コメント(2016/10/21)

「旧奈良監獄」現在の「奈良少年刑務所」が重要文化財に指定されるという知らせに喜びと驚きを禁じ得ない。鹿児島、長崎、金沢、千葉と共に「明治の五大監獄」として建設されたこの建物は、実は私の祖父啓次郎が設計したものだ。奈良以外のものは全て、移転、破壊、一部保存、内部改修がされていて、当時のままの姿はここにしか残っていない。同じ運命をたどるのだろうとなかば諦めていたが、今回は思わぬ大逆転全貌保存本塁打となった。
 その原動力は「奈良少年刑務所を宝に思う会」だ。これを早い時期に立ち上げてくださり、設計者の孫の私を会長にすえて下さった作家の寮美千子さんとご賛同された方々に心から御礼申し上げたい。寮さんは9年にわたって少年刑務所の「社会性涵養プログラム」教育にあたられてきた。その間に少年達の書いた詩も編集して『空が青いから白をえらんだのです』『世界はもっと美しくなる』として出版もされた。保存運動に大きな影響を及ぼしたことはまちがいない。また地元の皆様方から「保存要望書」が出されたとも聞く。異例のことだ。こういう施設は皆他所に行って欲しいと思うものなのに。奈良の人々の懐の深い大和心の所以だろうか。
 最後に私も初めて知ったエピソードを書く。ジャズ仲間のアルトサックス奏者・津上研太はチャーリーというミドルネームを持つ男だがこの男のおじいさんが、若林忠志という野球の名投手だった。ハワイ生まれでヘンリーと呼ばれ、やがて出来たばかりの阪神タイガース(当時は「大阪タイガース」)に入って大スターになった。この人が奈良少年刑務所を慰問しているのだ。昭和24年12月14日の日付けで、「奈良収容者自治会代表」による長い礼状が署名入りで残っている。『若林忠志が見た夢』(内田雅也著/彩流社)の中に「いただきました優勝楯は永く当所に残して」という一文がある。まだあるのだろうか。(注)
 これも含めて数々の更生プログラムの記憶が残るこの場所の108年の歴史も、是非とも保存事業でそのまま残して欲しい。正確な資料を残す「博物館」の実現を心から望みたい。
 今まではどこかおおっぴらに「これはぼくのおじいちゃんが造ったものなんだよ」と言えなかった明治の五大監獄が、こういう扱いになったことで、これからは「あの重要文化財は、おれの祖父が造ったんだよ」と言える心境の変化に、恥ずかしながら気づいている次第だ。
山下洋輔

注:若林忠志が贈った優勝盾は現存し、2016年も「若林杯」のソフトボール大会が開かれた。内田雅也:刑務所閉鎖後も引き継がれる「若林杯」の精神(スポニチアネックス 2016年9月6日)

※本コメントは、報道などで自由にご使用ください。

保存活用に関する要望書:「市民の声を受け止めて、新施設に生かすための「窓口」を、ぜひ設定してください」2016年7月26日

▼奈良少年刑務所の保存活用に関する要望書(2016/07/26)

法務大臣 岩城光英殿
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素より本会の活動につきましてご理解を賜り、厚く御礼を申し上げます。
このたびの奈良少年刑務所の突然の廃庁のお知らせをお伺いし、大変驚くとともに、明治の名煉瓦建築を重要文化財指定し、保存・活用する方針であることを知って、ほんとうにうれしくありがたく存じております。
建物というハード面は残されることになりましたが、奈良少年刑務所の更生教育のソフト面が今後どのように継承されるかを案じております。ご承知のように、教誨師、篤志面接委員をはじめ、多くの市民ボランティアが、少年たちの更生と社会復帰を願って、心を合わせて長年活動を行なってきました。教誨師の中には、指導歴が半世紀に及ぼうとしている方もいらっしゃいます。若者への教育では「東の川越、西の奈良」と言われるほど、先進的なことを行なってきたともっぱらの評判です。建築物としては一番古い刑務所で、一番先進的な教育を行なってきたわけで、このような伝統が、廃庁とともに、もしも雲散霧消してしまうのであれば、大変残念なことです。
奈良少年刑務所は、旧奈良監獄として、民間に託され、営利事業を行なう予定であると報道されました。ぜひ、そのなかに、奈良少年刑務所の教育の伝統を生かし、一般社会に還元する場を作ってください。具体的には、元教誨師や元篤志面接委員による講話や面談、刑務所内で行なわれていた暴力回避プログラムや命の教育などの授業を、一般に向けて行なうカルチャースクールのような場や、困難を抱えた少年少女を受け容れ、彼らが心を癒やし、その居場所となるような場を設定していただければと存じます。
また、町の人々からはアートの拠点に、音楽祭の開催を、など、さまざまな希望やアイデアが寄せられています。これらも含め、一般市民の声を受け止めて、新施設に生かすための「窓口」を、ぜひ設定してください。
さらには、新施設完成の暁に、運営企画にも、市民が参加できるような体制を整えていただければと存じます。そのために、管理業者募集の条件として「市民及び奈良の企業が、必ず企画運営の一部に携わること」といった文言を提示していただければと切望します。充分に収益を上げつつ、高度な文化発信をしていける場所になることを確信しています。
貴下におかれましては、これらの旨あらためてご理解いただき、ご検討くださいますよう、深くお願い申し上げる次第です。敬具