年表:これまでの活動・建物保存に関する主な動き

1992年

8月
旧長崎刑務所が廃止(諫早市内で新築移転)

2003年

8月
法務省が「奈良少年刑務所新営工事事業評価資料」を公表 奈良少年刑務所の建物の大半を解体・新築する内容 結果的には実施されず

2007年

6月
旧長崎刑務所解体(明治41年築、「明治五大監獄」の一つ長崎監獄)(衝撃の廃墟/旧長崎刑務所を訪ねる旧長崎刑務所・その後旧長崎刑務所のその後のその後

2010年

3月〜5月
写真展「知られざる名建築 ~旧奈良監獄・奈良少年刑務所の美~」 上條道夫撮影 ならまち通信社主催 於:奈良市 この後も「奈良矯正展」などいくつかの会場で不定期に展示
3月〜9月
写真展「PRISON 100年の時を刻む奈良少年刑務所」 外山ひとみ撮影 キヤノンギャラリー(銀座・福岡・札幌・梅田・名古屋・仙台)で展示
6月
ノンフィクション『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』(長崎出版のち新潮文庫)発売 寮美千子編 建物内外の写真(上條道夫撮影)を掲載

2014年

3月
奈良県教育委員会が「奈良県の近代化遺産 奈良県近代化遺産総合調査報告書」を刊行 奈良少年刑務所について詳細に記載
10月18日
【宝に思う会】設立総会 於:奈良市 設立趣意書
11月1日
【宝に思う会】勉強会①「加害者の痛み 被害者の悲しみ」 寮美千子(作家・奈良少年刑務所社会性涵養プログラム講師) 於:京都市
11月30日
【宝に思う会】勉強会②「重要文化財の基礎知識 高野口小学校の重文指定の経験から」 神吉紀世子(京都大学教授) 於:奈良市
12月10日
名古屋市庁舎(昭和8)・愛知県庁舎(昭和13)が国の重要文化財に指定 現役庁舎として初めて
旧富岡製糸場の明治建築3棟が国宝に指定

2015年

2月28日
【宝に思う会】勉強会③「古き良きもの、伝統ある遺産をのこす」 松永洋介(「宝に思う会」事務局長) 於:大阪市
4月29日
【宝に思う会】勉強会④「般若寺と奈良少年刑務所の交流 工藤良任(般若寺住職) 於:奈良市
6月10日
日本建築学会が「奈良少年刑務所の保存活用に関する要望書」を法務大臣に提出
8月21日
【宝に思う会】勉強会⑤「みんなで守った赤煉瓦建築」 内藤恒平(赤煉瓦ネットワーク) 於:奈良市

2016年

2月9日
旧網走監獄が国の重要文化財に指定 移築・再現され博物館網走監獄として公開中
5月18日
奈良少年刑務所の地元自治会・自治連合会が、建物の重要文化財指定と保存を求める要望書を提出(ニュース奈良の声
6月14日
【宝に思う会】勉強会⑥「中川五郎「奈良少年刑務所詩集」を歌う」 於:奈良市
6月21日
奈良県議会が「奈良少年刑務所の洋風建造物を重要文化財に指定し存続することを求める意見書」を可決
7月
奈良少年刑務所の今年度での廃庁(閉鎖)が決まり、建物は保存の方向と報道(朝日「最古の刑務所閉鎖へ 「明治の五大監獄」 奈良」毎日「奈良少年刑務所 年度内閉鎖、保存へ 「明治の五大監獄」」奈良新聞「奈良少年刑務所年度末閉鎖 建物 文化財指定の動き」共同「奈良少年刑務所を保存へ 明治の「五大監獄」の一つ」NHK「明治建築の刑務所閉鎖 保存へ」読売「奈良少年刑務所閉鎖へ」、日経BP「国内最古の奈良少年刑務所をコンセッションで民間転用、法務省が保存方針」) 奈良新聞には宝に思う会事務局長松永のコメントも掲載
7月26日
【宝に思う会】保存活用に関する要望書を提出
7月29日
【宝に思う会】奈良ドリーム刑務所計画 旧奈良監獄の活用を夢みる集い①開催 於:奈良市
8月1日
奈良少年刑務所の内部を報道陣に公開(共同通信の空撮動画読売「保存決定の少年刑務所、「威信かけた」装飾公開」産経「奈良少年刑務所を公開 老朽化で廃止後、ホテル活用も」毎日「奈良少年刑務所 法務省が施設を公開 年度末で閉鎖 「住民交流存続を」」
9月10日・11日
奈良少年刑務所として最後の一般公開イベント「奈良矯正展」開催
10月
ノンフィクション『世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集』(ロクリン社)発売 寮美千子編
10月21日
【宝に思う会】旧奈良監獄を重要文化財にとの文化審議会答申を受けて、山下洋輔会長のコメントを発表
11月
『写真集 美しい刑務所 明治の名煉瓦建築 奈良少年刑務所』(西日本出版社)発売 上條道夫写真・寮美千子文

連絡先

近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会
事務局:ならまち通信社
〒630-8315
奈良市中辻町1-1-1F(101)
info@narapress.jp
TEL・FAX 0742-24-4800
ケータイ 070-5024-9428(松永)

設立趣意書:「わたしたちは、建物の全貌を、日本の近代化遺産として、後世に残していくことを強く望んでいます」2014年10月18日

▼近代の名建築 奈良少年刑務所を宝に思う会 設立趣意書(2014/10/18)

奈良少年刑務所は、明治41年竣工の名煉瓦建築として、いまも、奈良市般若寺町の丘の上に、その偉容を誇っています。2013年の「日本赤煉瓦建築番付」では、西の横綱の一つに指名されました。放射状に監房の伸びた様式のこの刑務所は、明治時代、国がその威信をかけて造った「明治五大監獄」の一つでした。千葉、金沢、長崎、鹿児島はすでに取り壊され、全貌が残っているのは、奈良のみです。しかも、刑務所としてすべて現役で使用されています。

明治時代、日本は、さまざまな不平等条約を抱えていました。外国人の犯罪に関しては、「人権を守れるまともな監獄がない」という理由で、領事裁判権を取られていました。これに発憤した政府は、司法省の建築技官である山下啓次郎氏を海外に派遣、徹底的に研究を行い、山下氏らの設計により「明治五大監獄」を建築しました。そして、西欧諸国に「わが国にもこんな立派な刑務所がある」と主張するために、過剰に立派な監獄を築いたのです。この結果、不平等条約は改正されました。

使用している煉瓦は、すべて当時の囚人たちが、木津川のほとりの煉瓦工場で焼いた手作り煉瓦だと言われています。独特の風合いと、その一つ一つを積みあげて生まれる美しさは格別で、いまはもう、新たに造ることの叶わない、貴重な建築物です。

刑務所といえば、嫌われるのが世の常ですが、奈良少年刑務所は、その美しさゆえに、地元の人々にも深く愛されています。年に一度の一般公開日「矯正展」には、多くの人が訪れ、刑務所内部の見学ツアーは常に満員です。刑務所を身近に感じることで、出所後の少年たちへの眼差しも自然と温かいものになります。ここで暮らす少年たちにとっても、情緒の上でよい影響があり、更生に寄与していることと信じています。

奈良少年刑務所は、「奈良の宝」「日本の宝」と呼べる貴重な建物であるにもかかわらず、文化財指定が一つも付いていません。わたしたちは、建物の全貌を、日本の近代化遺産として、後世に残していくことを強く望んでいます。そのため、文化財指定を求める活動を行うとともに、受刑者の人権確保のための安全性・居住性、職員にとっての使い勝手など、必要な事項を検討し、提案していく所存です。また、会の活動を通じて、刑務所と更生教育への理解を深め、安全安心な社会を作ることに寄与することを目指しています。